ライ麦畑でつかまえて

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

 まさに今の自分に必要不可欠なものだった。

 主人公のホールデンは、ある意味で今の自分でもあり、ある意味で自分の目指すべき目標であったりもする。

 ただ、ホールデンに比べれば自分なんかはまだまだで、本を読んでいる間ずっと、自分は『アルジャーノンに花束を』の最初のチャーリーの気分だった。


 最後の方に出てくるアントリーニ先生の言葉はまさに自分に向けて言われているものだって感じた。

 著者がなぜ、最後先生にちょっと怪しい行動をさせたのか。多分、アントリーニ先生でさえ疑えというか、所詮一人の人間として絶対的な存在にはさせたくなかったんだろうと思うのだ。もちろん先生に悪意があったわけではないと思うが、それでもホールデンにとってかなりのショックだったに違いない。



 原著者の意向で訳者解説がついていなかったが、それがありがたかった。自分の読解力の無さによって、解釈の仕方が始めから一方向に固められてしまう恐れがあるからである。


 とりあえず、自分の頭脳のサイズを学部生のうちに知っておきたい。