宇宙共通の法則

 

利己的な遺伝子 (科学選書)

利己的な遺伝子 (科学選書)

 やっっっっっっっと、読み終わりました。

 読み始めたのが正確にいつか覚えてないのですが、読むのに1年以上かかったのはたしかです。凄く面白いし、言ってることも他の科学エッセイと比べて簡単に理解できるが、なにせ分厚いので途中で飽きてしまうんですよね。で、ある程度時間を空けて、続きから読もうと思っても前の内容を思い出す為に同じところを読むので、さらに時間がかかるという悪循環。集中力を持続できないので。

 でも、これは読んどくべき本ですね。


 この本を読もうと思ったのは、スティーブン・ジェイ・グルードが著書『パンダの親指』の中でドーキンスの理論について、「西洋式の科学的思想につきまとっている悪習ー原子論、還元主義、決定論などとよばれる姿勢ーに由来するものだと私は考える。」などと批判しているのを読んだからである。

 自然淘汰がはたらく単位について、ドーキンスは遺伝子だと言い、それに対してグルードは個体だと主張している。


 『利己的な遺伝子』のなかでドーキンスは、「あらゆる生命の根本的な単位、動因は自己複製子である」ことを「宇宙のどんな場所にいる生物にも適用される生命観」だと主張する。つまり、地球上に限定すれば、「生命の根本的な単位」である遺伝子が、その「長い腕」をのばして自分が存在し続けやすい環境を作り、環境に適した者が生き残る。そして、このことを「淘汰の単位が、種でも、集団でも、厳密には個体でもないこと」と言っているのである。

 ただ、ドーキンスは「そういった帰結(遺伝子による影響が、個体の適者生存を決定すること)はきわめて間接的なものでもありうる。」とも言っているのだが、これは、グルードが指摘している内容でもあると思う。つまり、両者とも結局は同じことを言っているのだ。

 ドーキンスが、個体は自然淘汰の単位ではないとはっきり言っていて、これだけを聞くと誤解してしまう。しかし本を最後まで読むと、グルードがなんでそんなに強く反発しているのか不思議に思えてくる。

 



 また、「人はなぜいるか」や、「気のいい奴が一番になる」の章から、正しい生き方についての、科学的根拠(イデオロギーではなく)を悟ることができた気がした。(著者はこの本で「道徳を主張しようというのではない」と言っているが)


 読んだのはかなり前ですが、パンダも面白かったです。

パンダの親指〈上〉―進化論再考 (ハヤカワ文庫NF)

パンダの親指〈上〉―進化論再考 (ハヤカワ文庫NF)