背理法のしくみ

背理法とは
命題p\to qが真であることを証明するために、もしその命題が真でないと仮定すれば矛盾が生じることを示して、もとの命題が真であるという証明法

ですが、自分が高校生のとき[その命題が真でない]→[矛盾]→[もとの命題が真]というプロセスがなんとなくもやもやしていました。なぜそれが正しいのか説明できなかったわけです。


まず、命題p\to qの否定について考えてみます。高校のとき、p\to qという文章について、「pならばq」と習いましたが、正確には「pが正しいときqも正しいならば、正しい」であり、これについてさらに正確には

  1. qが無条件に正しければ、pの正否に関わらずp\to qは正しい;
  2. pが正しくないならば、qの正否に関わらずp\to qは正しい;

となります。つまり、高校のとき自分はp\to qについてp正しくないときを考えておらず、その場合p\to qの正否がどうなるのかわからなかったわけです。まとめれば

  • pが真、qが真でp \to qが真
  • pが真、qが偽でp \to qが偽
  • pが偽、qが真でp \to qが真
  • pが偽、qが偽でp \to qが真

以上より、「命題p \to qが真でない」とき「pが真かつqが偽」となります。これに「矛盾」が生じるとき「qが偽ならばpは偽」がいえる。これは命題の対偶であり、対偶が真のとき「もとの命題が真」だといえることは高校でも習いました。よって命題が真であることがいえるわけです。つまり

背理法とは
命題p\to qが真であることを証明するとき、p\to qと同等な他の命題である対偶\overline{q} \to \overline{p}を証明して命題を証明するという間接証明法の一種

だったわけです。