ひらがなでよめばわかる日本語

 

ひらがなでよめばわかる日本語 (新潮文庫)

ひらがなでよめばわかる日本語 (新潮文庫)


日本に漢字が入ってくる前の日本人が使っていた「やまとことば」を通して日本人の思考や感情を考えるという本。
 
漢字で区別している同じ発音の言葉、例えば、「め」は「芽」「目」、「はな」は「花」「鼻」、「は」は「葉」「歯」、「み」は「実」「耳」、といった言葉について、これらは元々は同じものと考える。
顔の中には植物の部分と同じ発音の言葉が入っていたりするんですが、それには実は根拠がある(口についてはどうなのって思いますけどね)というような話です。
 
他にも、「おおかみ」は偉大なる神様ということであり、単にそれが神聖な生き物というだけでなく、元々日本人は「狼」という動物を神様と同一視していた、ということがわかったりそんな感じ。
 
 
 
現在の日本語には漢字が欠かせませんが、それが入ってくる前の日本人の考え方とか世界とか見方とかそういうものを理解するという行為も重要だと思いました。
特に、日本人は昔から同じ日本列島という独特の限られた地域で生活していて、それは今も変わってない。ということは、そこで培っていた独特の世界というものは、今の日本人にも理解し易いものだと思います。
所詮人間が理解している世界というのは、一人一人別々に脳が解釈している。もっと言うと、外から入ってくる情報を記号として認識する過程において言語が使われるわけですが、その時に違う言語を使えば当然違う世界が理解される。
漢字を一旦忘れて「やまとことば」で思考すると、ちょっと違った世界が見えてきて楽しいかもしれません。
右利きの人が、左手でご飯を食べるのに似てる…かも。